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この記事の内容
私は高学歴ではなく、勉強が得意というわけでもありませんでした。それでも独学で電験三種に一発合格することができました。この経験を通じて得た知識や工夫をもとに、同じ目標を持つ方々に参考にしていただける勉強法をご紹介したいと思います。
私自身が実際に勉強した経験や受験した経験をもとに機械科目の特徴や対策のポイントを紹介します。これから電験三種を目指す方にとって、少しでも役立つ情報になれば幸いです。
機械は範囲が広くて苦手になりやすい科目
機械科目の位置づけと重要性
電験三種の「機械」は、4科目の中でも特に苦手と感じる人が多い科目です。
その理由のひとつは、出題される内容が専門的かつ多岐にわたっているから。
ただ、裏を返せば「よく出る分野をしっかり対策すれば得点源にもなる」ということ。
また、電力科目や理論科目とつながっている内容も多く、他科目の理解を深めるヒントにもなります。
特に、変圧器や電動機などは電力にも登場するので、機械を勉強することで他科目の理解も一段と深まるのがメリットです!
他科目との関連性(理論・電力・法規とのつながり)
電験三種の「機械」科目は、他の科目(特に電力・理論)と深く関連している分野がいくつもあります。以下にそのつながりをまとめてみました
理論との関連性
- 変圧器や電動機の等価回路やベクトル図は、理論科目で学ぶ交流回路の知識がベースになります。
- 電気回路の計算(電流、電圧、インピーダンス)も理論での理解があるとスムーズに解けます。
- 特に複素数やフェーザ表示などは理論→機械の順に理解がつながっていくので、理論の知識が機械の計算で活きてきます。
電力との関連性
- 変圧器や電動機などの電気機器は、電力でも頻出です。
- 機械で学んだ装置の「仕組み」が、電力では「使い方」や「運用」に展開されるイメージです
法規との関連性
- 法規では「電気設備の保安や基準」を扱いますが、そこで出てくる電気機器の名称や用途、定格などの知識は、機械科目のベース知識があると理解しやすくなります。
- たとえば、「変圧器の保守」や「誘導電動機の保護回路」など、機械での知識があると法規の用語が具体的にイメージできるようになります。
機械科目の出題傾向と難易度を分析!
出題範囲は広いが、よく出る分野は決まっている
電験三種の機械科目は、出題範囲がとても広いのが特徴です。その中でも、頻出テーマに絞って効率的に学習することが合格への近道になります。機械科目では以下のような分野から出題されます
- 直流機
- 変圧器
- 誘導機
- 同期機
- パワーエレクトロニクス
- 自動制御
- 情報
- 照明
- 電熱
- 電動機応用
- 電気化学
下記の写真はR3~H24まで10年分の出題傾向の表です。
四機(直流機、変圧器、誘導機、同期機)が1番多く、次にパワーエレクトロニクス、情報が多いです。

計算と知識問題のバランスが特徴的
機械は、他の科目と比べても「計算問題:知識問題=6:4または5:5」のバランスが半々に近いのが特徴です。
- 計算問題:四機、パワエレなどが中心。難易度は年によって差あり
- 知識問題:電熱、照明、電気化学、情報通信などが中心。暗記で対応可能
計算問題と知識問題がバランスよく出題されるのが、機械科目の特徴です。
どちらか一方に偏らず、まんべんなく対策することが大切です。
計算問題は、1問あたり5分ほどで解けるレベルのものが中心ですが、知識問題は内容を覚えていれば1〜2分でサクッと解けることもあります。
理論科目のように計算だらけで時間に追われる、ということは少ないので、比較的余裕を持って解答できる可能性があります。
機械は電験三種の中でも難しい!
私自身は「理論」が一番難しいと感じましたが、人によっては「機械が最難関」という声もよく聞きます。そう言われる理由は、主に次の2つです。
1.出題範囲がとにかく広い!
機械科目は、電験三種の中でも特に出題範囲が広いことで知られています。
四機(変圧器、誘導機、同期機、直流機)やパワーエレクトロニクスはもちろん、電熱、電気化学、照明、情報分野まで…とにかく幅広いテーマから出題されるんです。
このため、対策がしづらく「どこから手をつければいいのかわからない」と悩む人も少なくありません。
2.モータや機械に関するイメージ
機械やモータに触れた経験がない人にとっては、「モータがどうやって回るのか」「中の構造はどうなっているのか」といった基本的な部分からつまずきやすいです。
また、パワーエレクトロニクスの分野では、専門的な知識が必要なことも多く、特に文系出身の方や初学者にとってはハードルが高く感じられるかもしれません。
対策のポイント
機械科目を攻略するには、頻出テーマを優先する、捨てる分野を決めるなどの戦略が有効です。ここでは、私自身の経験をもとに、機械の学習で意識すべきポイントを6つにまとめました。
モータの基礎知識とイメージをつかもう
初学者ほど“イメージ”が大切!
私はもともと勉強が得意なタイプではありませんでしたが、現在は回路設計エンジニアとして働いており、日頃からモータやパワーエレクトロニクス、インバータなどに触れる機会があります。
そのため、電験三種の中でも四機やパワエレといった分野については、比較的スムーズに理解することができました。
初学者の方にとっては、「そもそもモータってどうやって回るの?」「トルクって何?」といったイメージの有無が理解度に大きく影響します。
特に以下のような基礎知識は、早めに押さえておくと機械の学習がグンと楽になります
- モータの回転原理
- 負荷(電流)とトルクの関係
- 回転数と(誘起)電圧の関係
- 発電機と電動機の違い
数学の知識と計算力は必須!
難しい数学は出ないけど、基本は超重要!
私は理系出身なので数学に苦手意識はなかったのですが、大学を卒業して10年以上経ってから電験三種に挑戦したため、数学の基本をけっこう忘れていました。
機械科目でも以下のような数学知識がよく出てきます
- 指数・対数
- 三角関数(sin, cosなど)
- ベクトル
- 複素数(j記号やフェーザ表現)
- 分数計算・比の計算・単位換算 など
微分・積分はほとんど出題されないので安心してOKですが、簡単な計算を素早く・正確にこなす力は非常に重要です。
「数学苦手…」という方も最初は戸惑うかもしれませんが、電験三種で必要な計算は“慣れれば誰でもできる”レベル。市販の参考書や解説動画などを使って、まずは「使える数学」にしていく意識が大事です。
本質を理解するクセをつけよう
公式は暗記するものではなく理解する
機械科目の計算問題は、理論科目と比べるとある程度パターン化されている印象があります。ただし、覚えるべき公式が非常に多く、単に暗記するだけでは太刀打ちできません。
重要なのは、必要最低限の公式をしっかり覚えたうえで、「なぜその公式が使えるのか?」という仕組みや導出の流れまで理解しておくことです。こうした本質的な理解が、応用問題や少しひねられた問題に対応する力につながります。
私が意識していたのは以下のような視点です
- 公式の意味・成り立ちを理解する
- 最低限の公式だけ覚え、そこから導出できるようにする
- なぜこの式・解法になるのか、どういう条件で使えるのかを考える
このように意識すると、問題を見た時に適切な公式の選定や変形ができるようになります。
ちなみに私が特に参考にしたのが、YouTubeチャンネルの「電験合格」。本質から理解できるので、初心者の方にもおすすめです。
四機を制する者は機械を制す!
機械科目では「四機(変圧器・直流機・同期機・誘導機)」に関する出題が全体の半分ほどを占めています。
計算問題・知識問題ともに出題が多く、ここをしっかりマスターできるかどうかが合否に大きく関わってきます。
逆にいえば、四機を押さえておけばかなり得点が安定するので、最優先で取り組みましょう。
電熱・照明・電動機応用は得点源に!
以下の分野は、比較的パターンが決まっていて、コツをつかめば得点しやすいです。
私自身も下記の分野は初めて学習しましたが、比較的理解しやすく得点源にできました。
- 電熱・照明
知識問題の割合が高く、計算問題も基本的な公式が分かればOK。比較的簡単に得点できる分野です。 - 電動機応用
公式に数字を代入するだけの計算問題が多く、難問は少なめ。しっかり対策すれば確実に点を取りに行けます。
これらの分野は“確実に得点できるパート”として、優先的に仕上げておくのがおすすめです。
思い切って「捨て分野」を決めるのもアリ!
機械はとにかく範囲が広い科目なので、すべてを完璧にするのは現実的ではありません。
出題頻度が低い分野や、自分にとって苦手な分野は割り切って「捨てる」のも戦略です。
私の経験から、以下のような分野は取捨選択のポイントになります
自動制御
- 出題頻度が少なめ。
- ブロック線図から伝達関数を求める問題などは計算に手間がかかる。
情報(2進数・論理回路など)
- **換算(10進数↔2進数↔16進数)**は簡単なので、ここは覚えるべき。
- 論理回路やタイムチャートは複雑で解くのに時間がかかりやすい。
- プログラミング系の問題は実務経験がないと厳しく、私もここは捨てました。
- 選択問題としての出題が多い。
- ただし、出題頻度は比較的高いので最低限の知識は欲しいところ。
電気化学
- 出題頻度は低い
- 計算問題は単純で、抑えておくと得点につながる。
- 電池の種類や基本知識など暗記でOKなものは抑えておく。
- 反応式の理解など、化学が苦手な人には難しく感じるかも。私は最低限の部分だけ覚えました。
パワーエレクトロニクス
- 難易度は高めですが、出題頻度が高い。
- できればしっかり対策しておきたい分野ですが、苦手なら部分的に絞って学習するのもアリです。
機械科目は、すべてを完璧に理解しようとすると学習時間が足りなくなります。
だからこそ、「点が取れる分野は確実に」「苦手なところは割り切る」という戦略がとても大切です。
自分に合ったスタイルで、効率よく得点アップを目指しましょう!
パターン別学習法|自分に合った勉強法を選ぼう
機械科目を効率よく学ぶには、自分に合った学習方法を見つけることが大切です。
ここでは私自身の経験をもとに、3つの代表的な学習スタイルのメリット・デメリットをご紹介します。
YouTubeチャンネルを活用する
メリット
- 無料で質の高い解説が見られる
- 図解やアニメーションで視覚的に理解しやすい
- スキマ時間にスマホで学習できる
- 他の人の解説で理解の幅が広がる
デメリット
- 情報が断片的になりやすい
- 一貫したカリキュラムではないため、網羅性に欠けることも
- 視聴するだけで満足してしまうことも(復習は必須)
- 勉強が苦手でまずは気軽に始めたい人
- 動画の方が理解しやすいタイプの人
- 移動中や休憩時間に効率よくインプットしたい人
- まずは雰囲気をつかみたい人
おすすめのチャンネルは下記の記事で紹介しています。
各チャンネルの特徴や内容を詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
参考書を使った学習
メリット
- 自分のペースでじっくり学べる
- 繰り返し復習しやすい(書き込みやマーカーなどもOK)
- 問題演習→解説→理解が一冊で完結するものも多い
- 試験範囲を体系的に学べる
デメリット
- 理解できない箇所は自力で調べる必要がある
- 活字が苦手な人にはとっつきにくい
- 独学に慣れていないと挫折しやすい
- わからないところで手が止まりがち
- モチベーションを維持しづらい場合も
- ある程度の勉強経験がある人
- 自分で計画的に学習できる人
- コストを抑えて合格を目指したい人
- 基本〜応用まで体系的に理解したい人
通信講座を活用する
メリット
- スケジュール管理やカリキュラムが組まれていて安心
- 講師による丁寧な解説で理解しやすい
- 質問サポートがある講座も多く疑問をすぐ解消できる
- モチベーションを維持しやすい仕組みが整っている
デメリット
- 費用がかかる
- 自分に合わないと感じても途中で変更しにくい
- ある程度自学習の習慣が必要
- 独学に不安があり、サポート体制がほしい人
- 忙しくて効率的に合格を目指したい人
- 最短で合格したい社会人や主婦など
まとめ:機械科目を攻略して電験三種合格をグッと近づけよう!
今回は、電験三種の難関「機械」科目の特徴と対策のポイントについてお伝えしました。
本記事のまとめポイント
- 機械科目は計算問題と知識問題がバランスよく出題される為、偏りなく学習する
- 基礎的なモータのイメージや数学力を早めに身につけよう
- 本質的な理解を深めることで応用問題にも対応できる
- 頻出分野を優先し、捨てる分野を決めるのもアリ
- 学習方法はYouTube・参考書・通信講座の3つから、自分に合ったものを選ぼう
機械科目は専門的な内容が多く難しいと感じるかもしれませんが、専門的な内容だからこそ学習していて面白いのが機械です。
難関科目ですが、ポイントを抑えれば確実に合格できます。
特に「独学に不安がある方」や「効率よく短期間で合格を目指したい方」は、通信講座の活用も非常に有効です。