私は令和6年度の電験二種二次試験に向けた実力チェックとして、令和1年度~令和5年度の過去問をすべて解きました。
今回紹介するのは令和5年度。
実際に問題を解いたときの手応えや、自己採点の結果、使用した参考書との相性などをもとに、試験の傾向や難易度、必要な対策を本音でまとめています。
私自身、論説・計算ともにいくつかの教材を併用して学習してきました。その経験を踏まえて、この記事では令和5年度の出題内容を詳しく講評し、**「どんな対策をしていれば合格できたか」**を具体的に考察しています。
これから電験二種を目指す方にとって、出題傾向の見極めや教材選びのヒントになる内容を詰め込んでいますので、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです!
当時の勉強状況など
令和6年度の試験に向けた勉強状況は以下の通りです👇
- 勉強期間:2023年12月~2024年11月
- 計算対策
- これだけシリーズ:3週以上
- 戦術で覚える:3週以上
- 完全攻略:5週以上
- 論説対策(※)
- キーワードで覚える:3週以上
- 完全攻略:3週以上
- これだけ電力管理:3週以上
- 過去問実施日:2024/10/27
※論説はキーワードで覚える中心に学習し、完全攻略とこれだけ電力管理は解答パターンの幅を増やす為に各問題集で重複していない問題のみ暗記
詳細(合格体験記)は下記の記事で紹介しています👇
本番のシミュレーション方法
本番の試験を想定して、下記の写真のように問題用紙と解答用紙を印刷し、時間を測りながら行いました。

電力管理
📄 試験問題
- 問1:【論説】水撃作用の概要と発生原因、設備対策の設置場所と仕組み(水力)
- 問2:【論説】多導体送電線の利点とその理由(送電)
- 問3:【計算】等面積法を用いた過渡安定性の計算(送電)
- 問4:【計算】分散型電源設置前後の電圧降下の計算(配電)
- 問5:【論説】中性点接地方式について(変電)
- 問6:【論説+計算】電力系統の周波数に関する問題(施設管理)
※試験問題と解答は下記のリンク先から確認できます。
第二種電気主任技術者試験の問題と解答 | 第二種電気主任技術者 | 電気主任技術者 | 一般財団法人 電気技術者試験センター
問題選択
私は問1、問2、問4、問5の4問を選択しました。
問3は、これまでに見たことのないタイプの問題で戸惑いました。等面積法の知識は一応論説対策の中で触れてはいたものの、正直なところ、内容がかなり難しくて深掘りできていなかったので、スルーしました。
問6については、後半に計算問題も含まれているタイプですが、前半の論説が自分にはやや難しく感じられたため、これも見送ることにしました。
問1:水力発電(論説)
(1)は「水撃作用の概要と発生原因を説明せよ」、(2)は「水撃作用の設備対策を2つ挙げて、それぞれの設置場所と仕組みを説明せよ」という出題でした。
この問題は、平成26年の問1とほぼ同じ内容でした。「完全攻略」や「キーワードで覚える!」にも掲載されていたので、覚えた内容をそのまま答案に落とし込むことができました。
まさに“対策通りに出た問題”だったので、自己採点では満点の30点。難易度としては「易しい」と言っていいと思います。

問2:送電(論説)
こちらは、多導体電線について以下の4つの項目ごとに利点とその理由を述べる問題でした。
- (1)電流容量
- (2)固有送電容量
- (3)コロナ放電
- (4)系統安定性
(2)の「固有送電容量」というワードは初めて見たので少し焦りましたが、それ以外の内容は「キーワードで覚える!」のP.172(昭和58年問題1)に記載されていたことと近く、何とか食らいつけました。
自己採点では20点くらい。若干ひっかけられた感はありましたが、全体的には基礎的な問題だったと思います。難易度は「やや易しい」くらいでしょうか。

問3:送電(計算)
本番の実力チェックでは選択しませんでしたが、後日解いてみました。
…が、結果はほぼ全滅。手順も複雑で、初見で完答するのは厳しいと感じました。近年、等面積法や安定性に関する問題が増加傾向です。
令和5年度に出題されたので、本番の令和6年度では出題されないと判断して私は未対策。
しかし、今後受験を考えている人は対策しておいたほうがよさそうです。
個人的には「難易度高め」な問題だったと思います。

問4:配電(計算)
この問題は、分散型電源の設置前後における電圧降下を求めるもので、近年よく見られる“逆潮流”を扱うタイプでした。
「完全攻略」などで最近の制度に対応した問題に触れていれば、落ち着いて対応できる内容だったと思います。私自身、令和5年度のお試し受験の時にはあまり手が出せなかった問題でしたが、今回は対策が功を奏して完答。自己採点は満点の30点です。
計算量もそれほど多くなく、典型的な出題形式だったので、「やや易しい」と感じました。

問5:変電(論説)
出題は「中性点接地方式」に関する論説でした。これは平成30年の問6とほぼ同じ内容です。
(1)の中性点接地方式の目的については、「キーワードで覚える!」や「完全攻略」にも載っているド定番の知識だったので、特に迷うことなく書くことができました。
しっかり暗記したおかげで、今回は内容を自然に再現できて、こちらも自己採点は30点。過去問と類似している上に、出題内容も基本的だったので、難易度は「易しい」といえると思います。

問6:施設管理(論説+計算)
この問題は、電力系統の周波数に関する論説と、後半に簡単な計算問題がセットになった構成でした。
令和5年度のお試し受験では選択した記憶がありますが、今回は内容的に他の問題のほうが確実に得点できそうだったので、見送りました。
試しに後日解いてみたところ、自己採点は15点くらい。計算問題はそこまで難しくなかったものの、(4)の問題で「0.1Hz」をそのまま使ってしまい、単位変換ミスという初歩的な失敗…。計算問題は、「完全攻略」のP.213(平成18年問5)や「戦術で覚える!」P.189の問題8(昭和53年 法規)あたりと似ている構成でした。
全体的な難易度としては「標準」くらいの印象です。

機械制御
📄 試験問題
- 問1:【計算】同期発電機の安定度に関する計算問題(同期機)
- 問2:【計算】V結線変圧器(変圧器)
- 問3:【論説+計算】能動フィルタを用いた高調波電流除去について(パワエレ)
- 問4:【計算】ゲイン曲線から伝達関数を求める問題(自動制御)
※試験問題と解答は下記のリンク先から確認できます。
第二種電気主任技術者試験の問題と解答 | 第二種電気主任技術者 | 電気主任技術者 | 一般財団法人 電気技術者試験センター
問題選択
私はパワーエレクトロニクスの出題には手を出さないと決めていたので、問3は最初から除外。
自動制御についても、令和5年度の時に選択してみたものの、「これは初見では厳しい…」と感じるような新形式の問題だったので、今回は迷わずパスしました。
ということで、問1(同期機)と問2(変圧器)を選択しました。
問1:同期機(計算)
この問題は、前半がかなり典型的な出題で、比較的取り組みやすい内容だったと思います。ところが後半になると、安定度に関する計算が出てきて、ここで一気に難易度が上がった印象です。
同期発電機の出力と負荷角の関係性、そしてその安定性に関する知識があれば解ける内容ではありますが、理解が浅いとつまずくポイントでもあります。
私は実際、後半のところでミスがありました。完全に解答から外れていたわけではありませんが、詰めの甘さが出たなという感じ。自己採点では20点くらいです。
全体としては、新制度の過去問をしっかりやっていれば対応できるタイプの問題で、「典型的な問題だけど理解が必要な問題」といった印象でした。

問2:変圧器(計算)
V結線変圧器の問題で、平成25年問2の類題(ほぼ同じ)でした。
今回は問題文にフェーザ図が与えられていたので、こちらのほうが解きやすかったのではないかと思います。
完全攻略に載っている問題ですが、私はV結線変圧器は苦手だったので、完答できませんでした。
部分点がどれくらい貰えるか分からないので、自己採点は厳しめにみて15~20/30点
過去問の類題とはいえV結線自体は難しい内容なので、難易度は標準だと思います。

問3:パワーエレクトロニクス(論説+計算)
この分野は、私は完全に捨て科目にしていたので対策はゼロ。実際に問題にも手をつけていません。
ただ、問題の雰囲気をざっと見た限りでも「これは簡単には解けなさそうだな…」という印象がありました。
問4:自動制御(計算)
令和5年度の試験では、こちらの自動制御の問題を選んだのですが、正直に言って撃沈しました。当時は(1)しか解けず、あとは手も足も出ませんでした。
令和6年度に向けた実力チェックでは選択しませんでしたが、気になったので後日挑戦してみました。すると、(1)(2)は思いのほか正解しており、(3)も惜しいところまで行けました。とはいえ(4)は完全にわからず、やはり最後までたどり着くのは難しいと感じました。
出題内容は、ゲイン曲線から伝達関数を求めるという、今までに見たことのない形式。試験本番のプレッシャーと限られた時間の中で、これを冷静に解くのはかなり厳しいと感じます。
解ける人にとっては標準的な難度かもしれませんが、私にとっては「やや難」に感じられました。やはり、時間勝負の試験では、見たことがないタイプの問題は避けるのが無難だと実感しました。

私の試験結果(自己採点)
公式解答と照らし合わせて自己採点した結果は下記の通りです。
実際の試験では部分点がどれくらい貰えるか分からないので、試験本番では余裕を持って合格できるようにするため、客観的かつ厳しめに採点を行いました。
⚡ 電力管理
- 問1(論説/水力):30点
- 問2(論説/送電):20点
- 問4(計算/配電):30点
- 問5(論説/変電):30点
▶ 合計:110点/120点(約91%)
⚙️ 機械制御
- 問1(計算/同期機):20点
- 問2(計算/変圧器):15~20点
▶ 合計:35〜40点/60点(約58〜66%)
🧮 総合計
145〜150点/180点(約80〜83%)
令和5年度の受験(不合格)と令和6年度の受験(合格)体験談は下記の記事で紹介しています👇
気になる方はこちらもチェックしてみてください。
まとめ
この記事では私が実際に解いてみた感想と各問題毎の難易度や傾向、過去問との関連性について講評しました。
最後にそれぞれの科目の難易度と必要な対策をまとめておきます。
電力管理
- 問1:水力発電(論説) 易
- 問2:送電(論説) やや易
- 問3:送電(計算) 難
- 問4:配電(計算) やや易
- 問5:変電(論説) 易
- 問6:施設管理(論説+計算) 標準
機械制御
- 問1:同期機(計算) 標準
- 問2:変圧器(計算) 標準
- 問3:パワーエレクトロニクス(論説+計算) ※未対策の為、講評無し
- 問4:自動制御(計算) やや難
令和5年度の電験二種二次試験で必要だった対策とは?
令和5年度の電験二種二次試験を振り返ると、全体的に「論説は易しめ、計算はやや難しめ」といった印象を受けました。
特に機械制御は令和で1番難易度が高かったと思います。
私自身、この試験に向けては「とにかく幅広く、参考書をやり込みまくる」スタイルで挑んだのですが、最終的に本当に役立ったのは**「新制度に対応した過去問演習」**でした。
特に、私が使った『完全攻略』は論説・計算ともに新制度に即した問題が揃っていて、令和5年度の問題でもかなり手応えを感じられた一冊です。
✅ 「完全攻略」で十分対応できた内容だった
論説問題については、これまでにないくらい過去問の類題が目立ちました。出題そのものが見覚えのある形式だったので、対策をしっかりしていれば内容を書き出すのは難しくなかったと思います。
計算問題は、内容的にはやや骨のあるものもありましたが、新制度の過去問をしっかりマスターしていれば十分対応できる範囲でした。
全体を通して、一部難問はありましたが、「王道問題を確実に取る力」が試された印象です。
✅ 年度ごとの出題傾向に注意!王道問題を攻略しよう
ただし、ここで注意したいのは、「令和5年度がたまたま論説が易しめだった」という点です。
電験二種の試験は、年度ごとに出題の難易度や傾向がガラッと変わることがあります。
たとえば、令和5年度は「論説がチャンス年」でしたが、本番の令和6年度は「論説が難しく、計算が易しめ」でした。
つまり、「その年の傾向にピッタリの対策」ができていないと、本番で空振りする可能性があるわけです。
その年の傾向を掴むのは難しいかもしれません。しかし、二次試験は典型的な問題が解ければ合格は難しくないと思います。今後受験される方には、ぜひ「王道の問題をしっかり解ける力」を育ててほしいと思います。
そして、その土台を作るために、『完全攻略』などの良質な教材を繰り返し使い込むことをおすすめします。
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