令和5年度、私は電験二種の一次試験を「とりあえずワンチャン科目合格できればラッキー」くらいの軽い気持ちで受験しました。ところが、まさかの一発合格──。正直、自分でも信じられませんでした。
二次試験まで残された時間は、たったの約2ヵ月半。さすがにこの短期間での合格は難しいだろうと思っていたので、「今回は試験会場の雰囲気を感じて、来年の本番に向けて経験を積めればいいかな」くらいのスタンスで臨みました。
結果は予想通り、不合格。
※翌年(令和6年度)に再チャレンジし、無事合格しました。
この記事では、そんな令和5年度二次試験当日の様子や、実際に感じた緊張感、不合格から学んだことを、リアルな体験としてお伝えします。これから受験される方の参考になれば嬉しいです。
目次
当時の私のレベル
当時の状況はこんな感じです👇
- 令和4年度上期:電験三種を一発合格
- 令和5年度:エネルギー管理士(電気分野)も一発合格
- 同年:電験二種一次試験もまさかの一発合格
試験慣れや理論的な基礎力はある程度あったと思いますが、問題は二次試験対策に使えた時間です。
- 対策期間:わずか約2ヵ月半
- 対策方針:計算問題対策に特化
- 使用した教材:評判のよかった電気書院「戦術で覚える!電験二種二次計算問題」
- 勉強した範囲:
- 電力管理:全範囲をなんとか1周
- 機械制御:自動制御を1周+変圧器の途中まででタイムアップ
今思えば「そりゃ落ちるわ…」という仕上がりでしたが、当時はとにかく走り切ることで精一杯でした。
起床から会場まで
普段、電験三種やエネ管(電気)、令和6年度の電験二種二次試験といった“本気モード”の試験のときは、必ず事前に会場の下見をしていました。ところが、この令和5年度の電験二種二次試験については、「今回は受かるつもりじゃないし、まあ下見はいいか」という軽い気持ちで、ぶっつけ本番。
当日は早めに起床。試験会場の場所自体は事前に調べてあったので、電車に乗ってスムーズに最寄り駅までは到着しました。……が、ここでちょっとしたトラブル発生。
最寄り駅に着いたはいいものの、会場までの道がわからない。同じ受験生についていこうにも、それっぽい人が全然いない。あれ?これはマズいかも……と若干焦る。
仕方なく、駅前にいた会場の大学行き無料バスの案内スタッフの方に「○○大学ってどの方向ですか?」と尋ねたら、「このバスに乗ってください」と。ちょっと学生専用っぽい雰囲気のバスだったけど、案内されたままに乗車。無事、会場の大学まで連れて行ってもらえました。
ちなみに当日は、「戦術で覚える!(電気書院)」で軽く計算問題対策はしていたものの、参考書は持っていかず。完全に“気合い入ってませんモード”で試験に臨みました。
会場では、周りの受験生たちが参考書や問題集を開いて最後の確認をしている中、私はというと、スマホをいじって余裕ぶっこき中(笑)。今思えば、完全に場違いな雰囲気だったかもしれません。
余談ですが、試験中ふと気づいたのが、後ろの席の受験生。なんと、その年のエネ管(電気)を受けたときにも後ろの席にいた人っぽいんですよね。同じような資格を追っていると、こんな偶然もあるんだなと思った出来事でした。
第1時限目【電力管理】(10:00~12:00)
試験問題は以下の6問から4問を選択します。(配点は各30点)
- 問1:【論説】水撃作用の概要と発生原因、設備対策の設置場所と仕組み(水力)
- 問2:【論説】多導体送電線の利点とその理由(送電)
- 問3:【計算】等面積法を用いた過渡安定性の計算(送電)
- 問4:【計算】分散型電源設置前後の電圧降下の計算(配電)
- 問5:【論説】中性点接地方式について(変電)
- 問6:【論説+計算】電力系統の周波数に関する問題(施設管理)
※試験問題と解答は下記のリンク先から確認できます。
第二種電気主任技術者試験の問題と解答 | 第二種電気主任技術者 | 電気主任技術者 | 一般財団法人 電気技術者試験センター
問題選択
試験が始まってすぐ、まずは問題全体にざっと目を通しました。
問3の計算問題は、文章がやたら長くて難しそうな雰囲気が漂っていたので即スルー。
論説問題は全くのノー対策でしたが、問1と問5は電験三種でも見かけた内容だったので、「これはなんとかなるかも?」とチャレンジしてみることに。
あとは、多少なりとも対策していた計算問題の中から、問4と問6を選択。勉強した範囲とちょっとでもかぶっていればラッキー、という感覚でした。
問1(水力)
(1)は「水撃作用の概要と発生原因を説明せよ」という問題。
これは三種でも出てきたテーマなので、うっすら覚えている内容を思い出しながら書いてみました。
(2)は「水撃作用の設備対策を2つ挙げて、設置場所と仕組みも書け」という問題。
サージタンクの仕組みはなんとか書けたんですが、設置場所までは思い出せず。もう1つの設備も分からず撃沈。
▶ 自己採点:10点/30点くらい
試験後に知りましたが、平成26年問1とほぼ同じ問題でした。
問4(配電)
配電線の電圧降下の問題は、「戦術で覚える!」で一度解いたような記憶があり、見覚えはありました。
ただ、分散型電源(逆潮流)の設問はまったく初見。
とりあえず電圧降下の式を書いて計算してみたものの、出た答えは合ってなさそうで自信なし。
▶ 自己採点:5点/30点くらい
問5(変電)
中性点接地方式についての論説問題。
これも三種で見たことがある内容だったので、「あのときの知識が少しでも残っていれば…!」と願いつつ記述。
完全に正確とは言えないけど、何も書けないほどではなかった、という印象。
▶ 自己採点:10点/30点くらい
試験後に知りましたが、平成30年問6とほぼ同じ問題でした。
問6(施設管理)
(1)〜(3)は論説問題で、正直ほとんど理解できず。
ただ、(4)の計算問題だけは「戦術で覚える!」に似た問題が載っていた記憶があり、ここは何とか解答できました。
▶ 自己採点:5〜10点/30点くらい
見直し
問題の大半が歯が立たず、「見直しするまでもないな…」という感じ。
時間は余ったものの、手応えはゼロ。
全体的に「とりあえず書いて出した」という、完全な準備不足の初戦でした。
第2時限目【機械制御】(13:20~14:20)
試験問題は以下の4問から2問を選択します。(配点は各30点)
- 問1:【計算】同期発電機の安定度に関する計算問題(同期機)
- 問2:【計算】V結線変圧器(変圧器)
- 問3:【論説+計算】能動フィルタを用いた高調波電流除去について(パワエレ)
- 問4:【計算】ゲイン曲線から伝達関数を求める問題(自動制御)
※試験問題と解答は下記のリンク先から確認できます。
第二種電気主任技術者試験の問題と解答 | 第二種電気主任技術者 | 電気主任技術者 | 一般財団法人 電気技術者試験センター
問題選択
そもそも令和5年度の二次試験に向けた「機械制御」の対策は、ほぼ手つかずの状態でした。
使った教材は「戦術で覚える!」で、自動制御と変圧器を少し触った程度。同期機やパワエレに至っては完全ノータッチ。
そんなわけで、選んだのは以下の2問👇
- 問2(変圧器)
- 問4(自動制御)
問2(変圧器)
(1)と(2)は、問題文を読んで「これはいける!」とすぐに解けた記憶があります。
比較的ベーシックな内容で、計算も複雑ではなかったので、これは自信あり。
しかし(3)以降は完全に理解が追いつかず、手も足も出ない状態。とりあえず何か書いたけど、まったく合っている気がしませんでした。
▶ 自己採点:5〜10点/30点くらい
こちらも試験後に知りましたが、平成25年問2の類題でした。
問4(自動制御)
ゲイン曲線から伝達関数を求めるという、今までに見たことのない形式。
一応、自動制御の基本は軽く触れていたので、(1)くらいはなんとなく対応できた気がしますが、それ以降は完全にお手上げ。
とにかく「書けるだけ書いて出す!」という精神で粘ったものの、手応えは限りなくゼロに近い。
▶ 自己採点:5点/30点くらい
試験終了~帰宅
試験が終わって、淡々と帰宅。
「まあ、こんなもんだよね」って感じで、特に手応えもなく、緊張も疲れもほとんどなし。
そもそもちゃんと勉強してなかったし、「むしろちゃんとしっかり勉強して受かりたいから逆に受かると困る」くらいの気持ちだったので、悔しさや落ち込みも特になし。むしろ、「これで一旦ゆっくりできるな〜」とすら思ってました。
11月はそのまま勉強はお休み。
「12月くらいから少しずつ始めるか」っていう、かなりゆるいテンションで次の年の対策に向けて再始動する予定でした。
試験結果(自己採点)
当時は「とりあえず受けてみるか」くらいの気持ちだったので、試験後すぐに自己採点はしていませんでした。
ただ、今になって当時の記憶をたどりながら、ざっくり自己採点してみた結果がこちらです。
⚡ 電力管理
- 問1(論説/水撃作用):10点
- 問4(計算/配電):5点
- 問5(論説/中性点接地方式):10点
- 問6(論説+計算/施設管理):5〜10点
▶ 合計:30〜35点/120点(約25〜29%)
⚙️ 機械制御
- 問2(計算/変圧器):5〜10点
- 問4(計算/自動制御):5点
▶ 合計:10〜15点/60点(約16〜25%)
【総合計】
40〜50点/180点(約22〜27%)
※合格基準:102点かつ各科目平均点-5点以上
ちなみに、合格基準は以下の通り👇
- 合計102点以上
- かつ各科目で平均点マイナス5点以上
というわけで、結果はもちろん――
完敗!不合格!
今こうして振り返ると、ひどい出来だったなと苦笑いするレベルですが、まぁ当然の結果です(笑)
でも、この経験があったからこそ翌年(令和6年度)はちゃんと準備して、無事リベンジ合格できました!
下記の記事では令和6年度のリベンジ受験の当日のリアル体験談をまとめています👇
令和5年度との雰囲気の違いや1年間の勉強の成果をぜひ見てください!
実際に受けてみて感じた正直な感想
電験二種二次試験を2ヵ月半の対策で挑んで感じたことは以下の3つです👇
- 緊張ゼロの受験があまり意味が無かった
- ノー対策の論説のほうが手応えがあった
- 計算対策は「戦略」がすべて
緊張ゼロで受験したけど、それって逆効果?
令和6年度の本番では、試験中ずっと緊張と集中で頭がパンパンになるほどでしたが、令和5年度は“雰囲気を掴みに行く”という軽い気持ちで臨んだので、驚くほど緊張感ゼロ。
当然、疲れもなく、むしろ「何しに来たんだっけ?」ってくらい余裕でした。
というのも、ほとんどの問題がまったく歯が立たなかったので、思考力も集中力も使う機会がなく、ただ座っているだけの時間が続いた感じでした。
一応、「記述式の解答用紙ってこういう形式なんだな」ということが分かったのは収穫ですが、“試験の雰囲気を掴む”という目的としては、あまり意味がなかったな…というのが正直な感想です。
ノー対策の論説のほうが手応えアリ?
令和5年度は「計算問題だけ軽く対策」して、論説は完全ノーガード。にもかかわらず、実際に解いてみたら意外なことに、計算よりも論説のほうがまだ書けたんですよね。
というのも、論説問題の一部は電験三種で学んだ内容がベースになっていて、うろ覚えの知識をひねり出せば何かしら書ける。
一方、計算問題は問題集を1周しただけじゃ到底太刀打ちできず、「解けそうだけど詰めきれない」みたいな問題ばかり。
このとき初めて、「論説は捨てるものじゃなく、むしろ三種ベースの知識でも戦える武器になるんだ」と実感しました。
計算対策は「戦略」がすべて|失敗から学んだ考察
電験二種二次試験では、論説問題よりも計算問題の対策をしっかり行うことが重要だと感じました。
令和5年度の二次試験対策では、時間が2ヵ月半しかなかったこともあり、計算問題に絞って「戦術で覚える!」を使って学習を進めました。
ただ、実際に使ってみて思ったことがいくつかあります。
🔍 実際に使って感じた「戦術で覚える!」の特徴と注意点
- 旧制度の過去問が多いので、新制度では出題されないような問題も含まれていた。
- 難易度が高く、基礎がない状態でいきなり取り組むとかなり厳しい。
- 今思えば、最初から使う教材としてはややハードルが高かった。
結局このときは「戦術で覚える!」をなんとか1周しただけで試験を迎えることになりましたが、翌年の本番に向けては**「これだけシリーズ」で基礎からやり直すことに**。結果的に、戦術で解いた経験は無駄ではありませんでしたが、最初から「これだけシリーズ」→「戦術」→「完全攻略」と段階的にレベルアップするべきだったと思いました。
🎯 合格した今だからこそ言える「効率の良い学習法」
1年間しっかり勉強して合格してみて思ったのは、今の出題傾向なら計算問題は「完全攻略」だけで十分戦えるということです。
- 新制度の過去問を網羅している
- 頻出分野に絞って効率良く学べる
特に、一次試験から二次試験まで短期間で合格を目指すなら、あれこれ手を出すより**「完全攻略」に絞って頻出テーマを確実にマスターするのが一番効率がいい**と実感しました。
教材選びは合否を左右する大きな要素です。自分のレベルや試験までの期間に合わせて、無理のないルートを選ぶことが何より大切だと思います。
翌年(令和6年度)の試験に合格する為に実際に使ってみて良かったと感じたおすすめの参考書・問題集をこちらの記事に詳しくまとめています👇
参考にしてみてください!
最後に|これから電験二種を目指す人へ
令和5年度の二次試験は、対策期間が短かったため不合格に終わりました。結果、2回受験できるチャンスのうち、1回を無駄にしてしまった感があります。
一次試験合格後に、すぐに二次試験対策に取り組み合格したという成功例もあるようですが、私の場合は点数から見ても相当厳しい状況でした。
「雰囲気だけでも掴めれば」と思って受けた二次試験でしたが、翌年本番を迎えたときの緊張感とはまったく別物でした。
何より、もし翌年も不合格だったら一次試験からやり直しになる…というプレッシャーはかなり大きかったです。
そこで私のアドバイスとしては、もし二次試験対策を十分に行っていないのであれば、一次試験はあえて一部残しておいて、翌年に残りの科目としっかりと二次試験対策を行う方法も十分検討してみてください。
この体験が、これから電験二種に挑戦する方のヒントになればうれしいです!
応援しています!