目次
📝 この記事の内容
私は高学歴ではなく、勉強が得意というわけでもありませんでした。それでも独学で電験三種に一発合格することができました。この経験を通じて得た知識や工夫をもとに、同じ目標を持つ方々に参考にしていただける勉強法をご紹介したいと思います。
私自身が実際に勉強した経験や受験した経験をもとに電力科目の特徴や対策のポイントを紹介します。これから電験三種を目指す方にとって、少しでも役立つ情報になれば幸いです。
🔍 電力科目の特徴を押さえよう!
🎯 電力科目の位置づけと重要性
電験三種の4科目の中で、電力科目は**「送配電や変電設備の仕組み」**など、実務に直結する知識が多く出題されるのが特徴です。
特にインフラ分野や電力会社、プラント関係の仕事をしている方にとっては、業務と直結する内容も多く、実務的なイメージと結びつけやすい科目です。
また、計算問題だけでなく図解や文章問題も多く出題されるため、苦手意識を持つ人もいますが、逆に言えば「知っていれば得点できる問題」が多いのも事実。基礎をしっかり押さえれば得点源になりやすいので、バランスの良い学習がポイントです。
🔗 他科目との関連性(理論・機械・法規とのつながり)
電力科目は他の科目とのつながりが非常に強く、特に理論・機械・法規との関連性を意識すると、理解が一気に深まります。
- 理論科目との関係
送電線のインピーダンス計算や力率、三相交流の計算などは理論の知識が土台になります。理論で学んだ公式や考え方を、実際の設備に応用するイメージです。 - 機械科目との関係
変圧器や発電機といった電力機器は、機械でも出題されます。同じ装置でも「仕組み」と「使い方」で出題の切り口が違うため、機械とセットで理解するのがおすすめ。 - 法規との関係
電力で学ぶ内容の一部は、**保安規定や電気設備に関する法律(電技・内規など)**でも登場します。たとえば「高圧受電設備の構成」や「地絡保護の考え方」など、制度と仕組みの両方を理解すると試験にも現場にも役立ちます。また、力率改善の計算問題や揚水発電の計算問題など、法規でも出題されます。
全体的に、電力科目は「電験っぽさ」が濃い分野であり、現場感と理論の橋渡しになるような科目です。
だからこそ、他科目と連携した横断的な学習が効果的です!
📊 電力科目の出題傾向と難易度を分析!
📌 出題範囲は広いが、頻出分野に絞って対策すれば戦える!
電験三種の電力科目も出題範囲がとても広いのが特徴です。その中でも、頻出テーマに絞って効率的に学習することが合格への近道になります。電力科目では以下のような分野から出題されます👇
⚡ 主な出題分野一覧(電力)
- ⚡発電:火力、水力、原子力、太陽光、風力などの発電方式とその特徴
- 🏗 変電:変電設備、保護継電器、遮断器、避雷器など
- 🛤 送電:送電方式、送電損失、電圧降下、線路定数など
- 🏠 配電:配電方式、柱上変圧器、配電盤、地中配電など
- 🧯 電力系統保護:過電流・地絡・短絡時の保護方式、選択性など
- 🔋 電力品質:力率、周波数、電圧の安定性など
💡 ポイント
- 一つ一つの分野が専門的なので、最初はとっつきにくく感じるかも。
- ただし、出題傾向がある程度決まっているため、過去問を活用して効率よく対策することができます。
- 特に配電・送電・変電・発電などは頻出分野です!
参考までに下記の写真はR3~H24まで10年分の出題傾向の表です。

⚖️ 計算と知識問題のバランスが特徴的
電力は、他の科目と比べても「計算問題:知識問題=5:5」のバランスが半々に近いのが特徴です。
🔢 計算問題の内容
- 電圧降下や送電損失、力率改善、変電所の短絡計算
- 複雑な公式を覚えていなくても、基本的な電力公式を組み合わせれば解けるものが多い
🧠 知識問題の内容
- 各発電方式の特徴や構成
- 変電設備や保護装置の役割
- 配電方式や送電線の種類・特徴など
計算も知識もバランスよく出題されるため、どちらかに偏らず学習することが大切です
🧱 電力は電験三種の中でも対策しやすい
電験三種の中で「電力は比較的取り組みやすい」と感じる人も多く、出題傾向もある程度安定しているため、対策しやすい科目です。
ただ、それでも次のような難しく感じるポイントがあります👇
⚠️ 電力で「難しい」と感じやすいポイント
① 発電方式の暗記が多くて混乱しやすい
- 火力・水力・原子力・太陽光・風力など、それぞれに特徴・構成・効率・利点/欠点があり、細かい部分まで覚える必要があります。
- 「〇〇式発電の特徴は?」「〇〇の構成機器は?」と問われると、うろ覚えだと選択肢を迷いやすいです。
② 実務っぽい用語や機器名が難しい
- 「開閉器」「断路器」「地絡」「避雷器」など、現場寄りの知識が出題されることがあります。
- 電気工事やインフラ設備に触れたことがない人にとっては、イメージが湧きづらく、用語でつまずきがちです。
③ 力率改善や電圧降下などの計算問題
- 一見簡単そうに見えて、単位の取り扱いや計算式を忘れているとミスしやすいです。
- ベースが理解できていれば問題ないですが、電力公式の使い方に慣れていないと正解が出せないことも。
④ 選択肢がひっかけやすい
知識問題は「正しそうな選択肢が並んでいる」ことが多く、細かい部分を理解していないと誤答しやすいです。
電力科目は全体的に対策が立てやすく、4科目の中でも「得点源にしやすい」と感じる方が多いでしょう。
ただし、発電方式や設備の細かな知識、実務寄りの用語には注意が必要です。
計算問題もパターン化されていますが、慣れるまでは公式の整理や単位の扱いでつまずくこともあります。
油断せず、基礎を固めておくことが安定得点のカギです!
🎯 対策のポイント
ここでは、私自身の経験をもとに、電力の学習で意識すべきポイントを6つにまとめました。
⚡ 電力の流れと各設備の仕組みを理解しよう
🔰 初学者ほど“イメージ”が大切!
電力科目を初めて学ぶ方の中には、「電気がどうやって作られて、どうやって家まで届くのか」がピンとこない方も多いかもしれません。ですが、この流れをイメージできるかどうかは、電力の理解度に大きく影響します。
まずは、電気が発電されてから自宅に届くまでの全体像と、各設備の役割をしっかりと押さえておきましょう。
🔁 電力の流れをイメージする
- 発電 → 変電 → 送電 → 配電 → 家庭 という一連の流れを押さえる
- 各ステップごとの役割や目的をざっくり理解するだけでも学習効率がアップ
🏗️ 設備ごとの仕組みや特徴を理解する
- 発電所の種類(火力、水力、原子力など)や、それぞれの特徴を把握する
- 変電所では「電圧を上げて送る/下げて使えるようにする」などの目的がある
- 送電・配電の仕組みでは、電圧・電流・距離との関係を意識する
このように、まずは “電気の旅路” を全体像で捉える ことが、電力科目の基礎力をつけるうえでとても大切です!
➗ 数学の知識と計算力は必須!
難しい数学は出ないけど、基本は超重要!
私は理系出身なので数学に苦手意識はなかったのですが、大学を卒業して10年以上経ってから電験三種に挑戦したため、数学の基本をけっこう忘れていました。
電力科目でも以下のような数学知識がよく出てきます👇
- 指数・対数
- 三角関数(sin, cosなど)
- ベクトル
- 複素数(j記号やフェーザ表現)
- 分数計算・比の計算・単位換算 など
微分・積分はほとんど出題されないので安心してOKですが、簡単な計算を素早く・正確にこなす力は非常に重要です。
「数学苦手…」という方も最初は戸惑うかもしれませんが、電験三種で必要な計算は“慣れれば誰でもできる”レベル。市販の参考書や解説動画などを使って、まずは「使える数学」にしていく意識が大事です。
🧠 知識問題は正確に覚えて得点源に!
電力科目は、計算と知識問題が半々くらいの割合で出題されます。
覚える範囲が広いので一見大変そうに感じますが、「覚えてさえいれば解ける問題」が多いのが特徴。だからこそ、しっかり対策すれば得点源にしやすい科目です。
ただし注意したいのが、“なんとなく”覚えている状態。
選択肢がどれもそれっぽく見えてしまって、迷ってしまう…ということがよくあります。
そこで大事なのが、「特徴やメリットが何も見ずにスラスラ出てくる」レベルまで仕上げること。電力科目に限った話ではないですが、マークシート形式とはいえ、記述問題のように説明できるくらい理解しておくと、本番で迷わず選べます。
例えばこんな感じです👇
✅ 例:コンバインドサイクル発電の特徴について
- 熱効率が高い
- 冷却水量が少ない
- 排ガス量が多い
- 外気温度の影響を受けやすい
- 大型機器が少なく、所内率が小さい
- 起動停止時間が短い
- 燃料に制限がある
このような特徴を何も見ずにぱっと言えるようにするのがポイントです。
また、このような知識問題に対応するには、ただ丸暗記するのではなく、理由とセットで覚えることがポイントです。
以下のように理解しておくと記憶に残りやすく、応用も効きます👇
コンバインドサイクルはガスタービン発電と蒸気タービンを組み合わせた発電なので、以下のように覚えることができます。
🔍 コンバインドサイクル発電の特徴と理由
- 熱効率が高い
→ ガスタービンの排熱を蒸気タービンで有効活用するから - 冷却水量が少ない
→ ガスタービン側は冷却水を使わないので、全体の使用量が減る - 排ガス量が多い
→ ガスタービンの特徴。燃焼ガスが多く発生する - 外気温の影響を受けやすい
→ 外気温が高いと空気密度が下がり、圧縮機に取り込める空気の質量が減るため - 大型機器が少なく、所内率が小さい
→ ガスタービンは蒸気タービンと比べて補機が少ない - 起動停止時間が短い
→ ガスタービンは立ち上がりが早い - 燃料に制限がある
→ 主に都市ガスなど特定の燃料を使う場合が多い
このように、理由まで含めて理解しておくと選択肢に惑わされず、確実に得点できます。
知識問題は「正確に覚えて一気に得点を伸ばす」ための、非常に効率の良いパートです!
🔢 計算問題も得点源!
電力科目の計算問題は、たまに難しい問題が出ることもありますが、基本的にはある程度パターン化されているのが特徴です。
そのため、よく出る問題パターンや公式を押さえておけば、十分に得点源になります。
理論や機械と同じように、公式をただ暗記するのではなく、
「なぜこの式になるのか?」という意味を理解した上で、必要最低限の公式を覚えることが大切です。
✅ 対策のポイント
- 過去問や問題集で繰り返し練習して慣れる
- よく出る計算パターンを押さえる
- 公式は意味を理解して覚える
- 導出・変形できるように練習する
🔄 理論と機械が理解できていれば、電力はスムーズに入れる!
私は現在、メーカーで電気回路設計エンジニアとして働いています。
そのため、電気の基礎知識やモータに関する基礎知識はある程度ありましたが、電力系統に関しては正直まったくイメージが湧きませんでした。
それでも、実際に学習してみると、理論や機械の内容をある程度理解できていれば、電力科目もスムーズに理解できると感じました。
逆に言えば、理論や機械があまり理解できていないと、電力も難しく感じるかもしれません。
✅ こんな人にとって電力は取り組みやすい!
- 理論や機械をある程度理解できている
- 電気の流れや設備に興味がある
- パターン化された計算問題が得意
電力は出題範囲が広いですが、知識と計算のバランスが良く、しっかり対策すれば得点しやすい科目です。
理論や機械を通じて得た知識を活かして、効率的に攻略していきましょう!
🧮 電力の計算問題は法規にも登場!
電力科目で学ぶ計算問題の中には、法規科目でも同じ内容が出題されるものがあります。
そのため、法規と合わせて勉強しておくと効率的に理解が深まり、どちらの科目でも得点源にしやすくなります。
特に以下のようなテーマは、電力・法規どちらにもよく出てくるので要チェックです。
✅ 電力と法規の両方で出題される代表的な計算問題
- 進相コンデンサ投入による力率改善の計算
- 水力発電に関する出力・効率などの計算
- 不等率・需要率・負荷率の関係や計算
- 電線のたるみに関する計算問題
これらの問題は公式を覚えるだけでなく、「なぜそうなるのか?」を理解しながら取り組むことがポイントです。
電力で計算の基本を学びつつ、法規で実務にどう活かされているかまで意識して学習すると、知識がより定着しやすくなりますよ。
🧩 パターン別学習法|自分に合った勉強法を選ぼう
電力科目を効率よく学ぶには、自分に合った学習方法を見つけることが大切です。
ここでは私自身の経験をもとに、3つの代表的な学習スタイルのメリット・デメリットをご紹介します。
📺 YouTubeチャンネルを活用する
メリット
- 無料で質の高い解説が見られる
- 図解やアニメーションで視覚的に理解しやすい
- スキマ時間にスマホで学習できる
- 他の人の解説で理解の幅が広がる
デメリット
- 情報が断片的になりやすい
- 一貫したカリキュラムではないため、網羅性に欠けることも
- 視聴するだけで満足してしまうことも(復習は必須)
- 勉強が苦手でまずは気軽に始めたい人
- 動画の方が理解しやすいタイプの人
- 移動中や休憩時間に効率よくインプットしたい人
- まずは雰囲気をつかみたい人
おすすめのチャンネルは下記の記事で紹介しています。
各チャンネルの特徴や内容を詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
📘 参考書を使った学習
メリット
- 自分のペースでじっくり学べる
- 繰り返し復習しやすい(書き込みやマーカーなどもOK)
- 問題演習→解説→理解が一冊で完結するものも多い
- 試験範囲を体系的に学べる
デメリット
- 理解できない箇所は自力で調べる必要がある
- 活字が苦手な人にはとっつきにくい
- 独学に慣れていないと挫折しやすい
- わからないところで手が止まりがち
- モチベーションを維持しづらい場合も
- ある程度の勉強経験がある人
- 自分で計画的に学習できる人
- コストを抑えて合格を目指したい人
- 基本〜応用まで体系的に理解したい人
🖥️ 通信講座を活用する
メリット
- スケジュール管理やカリキュラムが組まれていて安心
- 講師による丁寧な解説で理解しやすい
- 質問サポートがある講座も多く疑問をすぐ解消できる
- モチベーションを維持しやすい仕組みが整っている
デメリット
- 費用がかかる
- 自分に合わないと感じても途中で変更しにくい
- ある程度自学習の習慣が必要
- 独学に不安があり、サポート体制がほしい人
- 忙しくて効率的に合格を目指したい人
- 最短で合格したい社会人や主婦など
✅ まとめ:電力科目を攻略して電験三種合格をグッと近づけよう!
今回は、電験三種の「電力」科目の特徴と対策のポイントについてお伝えしました。
✅ 本記事のまとめポイント
- 電力科目は計算問題と知識問題がバランスよく出題される為、偏りなく学習する
- 電力の流れと各設備の仕組みを理解しよう
- 知識問題は正確に覚えて得点源にしよう
- 計算問題はパターン化されているので、十分な得点源
- 学習方法はYouTube・参考書・通信講座の3つから、自分に合ったものを選ぼう
電力科目は、発電・変電・送電・配電といった実務寄りの知識が多く、現場に携わったことがない方にとってはイメージしにくい部分もあるかもしれません。
ですが、実は4科目の中でも比較的対策しやすく、しっかり勉強すれば得点に結びつけやすい科目だと感じています。
また、電力科目を学ぶことで、「電気がどのように作られて、家庭に届くのか」という全体の流れが見えるようになるので、勉強していてとても面白さを感じやすい分野でもあります。
電気の世界の“裏側”を知るような感覚で、ぜひ楽しみながら取り組んでみてください!