私は令和4年度上期に電験三種に一発合格し、翌年の令和5年度にはエネルギー管理士(電気分野)にも一発合格することができました。
この記事では、そんな私の実体験をもとに、各科目の特徴や対策のポイントをわかりやすく紹介していきます。
「エネルギー管理士の勉強って、どこから手をつけたらいいの?」
「科目ごとに何を重視すればいいの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、実際に私が感じた難しさ・つまずきポイントなども正直にお伝えします。
合格を目指している方の参考になればうれしいです!
目次
🔍 エネルギー管理士試験とは?試験の概要と難易度を解説
エネルギー管理士試験は、省エネルギーに関する高度な知識と実務能力が問われる国家資格です。ここでは、試験の基本情報から難易度、合格率までをわかりやすく解説します。
🔧 エネルギー管理士の役割とは?
- エネルギーの使用合理化に関する技術的な指導・管理を行う専門職
- 省エネ法に基づき、一定以上のエネルギーを使用する事業所では選任が義務付けられている
- 「電気分野」と「熱分野」の2区分があり、本記事は「電気分野」にフォーカス
📘 試験の概要(電気分野)
- 受験資格:誰でも受験可能(実務経験不要)
- 試験科目(全4科目):
- 課目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規
- 課目Ⅱ:電気の基礎
- 課目Ⅲ:電気設備及び機器
- 課目Ⅳ:電力応用
- 試験形式:マークシート式、科目合格制度あり
- 実施時期:年1回(例年7月〜8月に実施)
📉 難易度と合格率
エネルギー管理士(電気)の合格率は、電験三種と比べるとやや高めです。
これはおそらく、受験者の多くがすでに電験三種を取得している人が多く、全体的に受験者のレベルが高いことが影響しているのだと思います。
私自身も、電験三種に合格した翌年にエネルギー管理士に挑戦しましたが、電験三種で身につけた知識がベースになっていたおかげで、比較的短い勉強時間で合格することができました。
とはいえ、まったく楽だったというわけではなく、それなりにしっかりと対策はしましたし、体感的な難易度は電験三種と同じくらいだと感じています。
むしろ最近の電験三種が過去問中心の出題傾向になっていることを考えると、エネルギー管理士のほうが難しく感じる人もいるかもしれません。
それでも、電験三種の知識がある方なら、しっかりと対策をすれば一発合格も十分に狙える試験だと思います!
- 合格率(全科目合格ベース):おおよそ30%程度
- 難易度の特徴:
- 専門用語や応用計算が多く、電験三種と比べると実務寄り
- 文章量、問題数が多く、時間配分の工夫が必要
- 電験三種と電験二種(一次試験)の間くらいの難易度と言われている(通称電験2.5種)
📌 科目毎の特徴と対策のポイント
ここでは私が実際にエネ管の学習を通じて得た知識や経験をもとに各科目毎の特徴や難易度、出題傾向、対策のポイントまで解説します。
- 課目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規
- 課目Ⅱ:電気の基礎
- 課目Ⅲ:電気設備及び機器
- 課目Ⅳ:電力応用
⚖️ 課目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規
🔍 特徴
- エネルギー管理の実務知識と法規(省エネ法など)が出題されます。
- 他の科目と比べて暗記寄りの内容が中心です。
- 電験三種でいう法規にあたる科目ですが、扱う法律が異なるため、電験三種取得後でも新たに学ぶ必要があります。
- 電気と熱に関する簡単な計算問題も出題されます。
📚 試験の構成・出題内容
- 試験時間は80分で、全3問で問題1,2が50点、問題3が100点の200点満点です。
- 問題ごとの出題傾向は以下の通りです:
- 問題1:条文の穴埋め問題や工場のエネルギー量に関する実務的な問題
- 問題2:単位換算、エネルギー情勢・政策など
- 問題3:熱や電気に関する基本的な計算問題がメイン
📊 難易度・出題傾向
- **エネルギー使用の合理化(省エネ)**がテーマの中心
- 単位換算や計算問題は毎年ほぼ同じような形で出るため、対策しやすく得点源になります。
- 電験三種の法規と比べると暗記量や計算問題のレベルも低く、難易度は4科目の中で最も易しい印象があります。
📌 対策のポイント
- 法令対策は「太字を覚える」ことから!
条文の穴埋めがよく出るので、参考書の太字や重要語句を中心に暗記しました。文章を丸ごと覚えるより、キーワード重視で。 - 計算問題は、過去問で慣れる!
問題3は特に「またこのパターンか」というのが多く、過去問を繰り返すことで自然と身につきました。
⚡ 課目Ⅱ:電気の基礎
🔍 特徴
- 電験三種の「理論(電気回路・電気計測)」と「機械(自動制御、情報)」を組み合わせたような内容が出題されます。
- 回路計算をはじめ、自動制御・情報処理・電気計測まで幅広くカバーされており、計算と知識問題のバランスが特徴的です。
📚 試験の構成・出題内容
- 試験時間は80分で、全3問・150点満点です(各問50点)。
- 問題ごとの出題傾向は以下の通りです:
- 問題4: 直流回路、交流回路(単相・三相)、ベクトルなどの回路計算
- 問題5: 自動制御や情報処理に関する知識・計算問題
- 問題6: 電気計測に関する知識・計算問題
📊 難易度・出題傾向
- 回路計算の難易度は電験三種の理論と同程度と感じましたが、ベクトルオペレータの扱いが加わる点が違いです。
- 自動制御はラプラス変換など新たに学ぶ内容が多く、難易度は電験三種に比べて高く感じました。
- 電気計測は電験三種にも出ますが、エネ管では毎年必ず出題され、全体の1/3の配点を占めるため、非常に重要なパートです。
- 情報処理や電気計測の知識問題では、参考書に載っていないような実務的な知識も出題されました。
📌 対策のポイント
- **回路計算は、電験三種の理論がしっかりできていれば十分対応可能。**ただし、ベクトルオペレータは初学者には馴染みがないので、対策は必須です。
- **自動制御はラプラス変換がカギ。**最初は難しく感じましたが、出題傾向が安定しているため、過去問を繰り返せばパターンが見えてきます。
- **情報処理と電気計測の知識問題は、過去問10年分取り組むのが効果的。**特に出題頻度の高い問題を重点的に抑えるのがポイントです。
🏭 課目Ⅲ:電気設備及び機器
🔍 特徴
- 電験三種の「機械(四機・パワエレ)」と「電力(配電)」を組み合わせたような内容になっており、すでに電験三種を取得している方にとっては、4科目の中で最も取り組みやすい科目と言えます。
📚 試験の構成・出題内容
- 試験時間は110分、全4問で**200点満点(各問50点)**です。
- 出題の内訳は以下の通りです:
- 問題7・8: 配電線や配電設備に関する知識・計算問題
- 問題9・10: モーター・変圧器など四機分野やパワエレに関する知識・計算問題
📊 難易度・出題傾向
- 知識・計算問題ともに、電験三種で学んだ内容とかなり重なるため、取り組みやすさは抜群です。(電験三種の知識で解ける問題が多い)
- エネ管独特の傾向として、「デマンド制御」や「省エネ対策」に関する問題が目立つのが特徴。これは電験にはあまり出ない視点なので、しっかり押さえておく必要があります。
- 出題パターン自体はかなり安定しているため、過去問演習で十分対応できる印象です。
📌 対策のポイント
- 電験三種の機械・電力で基礎ができていれば、追加の対策は最小限でOK。
→特にパワエレや四機は、基礎をしっかり理解しておけば得点源になります。 - **過去問対策が最重要。**出題形式が似ているため、10年分解いておけば自然と頻出テーマ(例:デマンド制御、無効電力補償など)に強くなれます。
- 知識・計算問題ともに毎年ほぼ同じようなパターンが出題されるため、過去問で効率よくインプット&アウトプットを繰り返すのが効果的。
- **時間配分に注意。**計算問題はややボリュームがあるので、過去問を使って時間を意識した練習をしておくと安心です。
💡 課目Ⅳ:電力応用
🔍 特徴
- 内容としては電験三種の機械(パワエレ・誘導機・電動機応用・照明・電気化学・電気加熱など)をベースにしつつ、物理的な理解力が問われる非常にレベルの高い科目です。
- 4科目の中で最も難易度が高く、計算問題は物理+微分積分の知識を必要とする場合もあります。
- 選択問題が含まれており、照明・電気加熱・電気化学・空気調和の4問から2問を選択する方式。
- 特に「空気調和」は電験三種には出ない分野なので、照明・電気加熱・電気化学の中から得意分野を選ぶのが無難です。
- 私自身は「照明」と「電気加熱」を選択しましたので、ここではこの2分野を中心に解説します。
📚 試験の構成・出題内容
- 試験時間は110分で、必須2問+選択2問の計4問(各50点)=200点満点です。
- 出題構成は以下のような形になります:
- 問題11: インバータ・パワエレ関連の知識問題や電動機の計算
- 問題12: 電動機の計算、送風機・ポンプの効率や動力に関する計算問題
- 問題13: 電気加熱に関する知識・計算問題
- 問題15: 照明に関する知識・計算問題
📊 難易度・出題傾向
- **インバータ制御(V/F制御、PWM制御、ベクトル制御など)**関連のキーワードが頻出。
→電験三種の誘導機やパワエレ知識がベースになっているが、少し専門的な内容が問われる。 - 電動機の問題は特に難易度が高く、微分積分や物理の知識がないと厳しい内容もあります。
→ただし、「問題文の誘導に従えば解ける」問題もあるため、すべてを理解していなくても得点できる可能性があります。 - 送風機やポンプの計算は、単位法(効率・動力など)を用いたものが多く、電験三種にはないエネ管独自の視点が問われます。
- 電気加熱・照明分野は、パターン化された出題が多く、対策しやすい。
→省エネ視点が加わっている点が電験三種との違いです。
📌 対策のポイント
- インバータ関連用語(ベクトル制御・V/F制御・PWM制御など)は頻出ワード。
→それぞれの意味や仕組みを把握しておくと、知識問題で得点しやすくなります。 - 電動機の計算では、微分・積分・力学の基礎(=面積やエネルギーの概念)を押さえることがカギ。
- 問題文の誘導に沿って進めば答えにたどり着けるケースも多いため、焦らず問題文をよく読む(内容自体を理解する必要はないが、この形式の問題に慣れておく)
- 送風機・ポンプの計算は“単位法”をマスターすることが重要。
→過去問を繰り返し解いて、計算の流れに慣れておけば得点源になります。 - 電気加熱・照明の計算問題は出題パターンが決まっているため、過去問学習が効果抜群。
→特有の計算プロセスや考え方を覚えておくと安定して得点できます。 - 知識問題も過去問の焼き直しが多いので、10年分を目安に演習するのがおすすめです。
✅ まとめ|エネルギー管理士(電気分野)の科目別対策のポイント
エネルギー管理士試験(電気分野)は、4つの科目それぞれに特色があり、効果的な対策も異なります。ここまで紹介してきた内容を、あらためて簡単に振り返っておきましょう。
- 課目Ⅰ(エネルギー総合管理及び法規)
→ 暗記中心で計算は少なめ。法令条文の穴埋めやエネルギー政策がテーマ。
→ 条文の読み込み+過去問演習がカギ。最も取り組みやすい科目。 - 課目Ⅱ(電気の基礎)
→ 電験三種の理論+自動制御+計測。
→ ラプラス変換など新しい分野に対応しつつ、10年分の過去問で頻出パターンを押さえる。 - 課目Ⅲ(電気設備及び機器)
→ 電験三種の機械・電力に近い内容で、配電や四機、パワエレが中心。
→ 電験三種経験者には特に取り組みやすく、過去問対策が効果的。 - 課目Ⅳ(電力応用)
→ 難易度が最も高く、微分積分や物理的理解が問われる計算が多め。
→ 選択問題は得意分野に絞って対策。照明・電気加熱などは過去問演習でパターンを習得。
📣 最後に(受験生へのメッセージ)
エネルギー管理士試験は、各科目で求められるスキルが異なる分、戦略的な対策が合格のカギになります。
とはいえ、出題傾向が安定している科目も多く、しっかりと過去問対策をすれば確実に得点力は上がります。
私自身も、電験三種の知識をベースにしつつ、エネルギー管理士に必要な知識を一つずつ積み重ねていくことで合格を掴みました。この記事が、これから受験する方の勉強の指針となり、少しでも不安を減らす手助けになれば嬉しいです。
応援しています!一緒にがんばっていきましょう!